Mearieとは
※注意
これより先は一解釈であって、正解ではない。
これより先は蛇足であって、補足ではない。
それを念頭に置いて欲しい。
これに、正解はない。
というわけで、初めての方は初めまして。
私は七日と申します。
このページでは私の作品集「黒の戯曲」について少々語らせていただこうと思います。
未読の方は、ぜひご購入のほどをお願いいたします。
ただし冒頭にあったように、ここから先はあくまで一解釈であって正解ではありません。私が本当のことを書くとも限りません。どうぞ、ご了承ください。
まず初めに「黒の戯曲」は「人の存在を証明するものは記録であり、それは架空のものであろうと事実として承認されれば、その存在を許容される」ということを題材にしています。
そのままの意味なのですが、早い話「存在とは不確定なもの」ということです。
ならば「人」とは、「自己」とは、「存在」とはいかにして証明するのか。
あるRPGゲームで「主人公のいる世界はゲームである」という衝撃的展開を迎えるストーリーがありました。ゲームをやっていた私はかなり衝撃を受けました。
今現在、私のいるこの世界、この視界すべてがゲームの中であったならと…
と同時に、自分の存在を証明することの難しさに気づきました。
自分の存在を肯定するものとは何でしょうか。
記憶、感情、思想、思考、肉体、精神、視点…けど、そのすべてが偽物なら?
人は二度死ぬ。
一度目は肉体的に、二度目は人々に忘れられることで完全に消失する。
そして、その二度目の死を回避するには…
人の存在とはその程度です。
人間個々人の定義とはその程度なのです。
どんなに偉大な者も、どんなに偉業を成した人も、極悪な殺人鬼であっても、
それらが成したことの記録によって「存在」が守られているだけなのです。
それと同時に、人々の視点、記録した者のさじ加減、記録を読んだ者の解釈、それらによっていくらでも捻じ曲げられる存在です。
さて、長くなりました。
ここまで言えばなんとなく察しの付いた方はいらっしゃるでしょう。
そう、「黒の戯曲」とはそういったお話です。
物語の中心である「メアリー」は歴史にも名を遺すほどの偉業を成し、記録され、若いながらも多くの人々に愛される存在でした。
唐突な死によって悲劇のヒロインとしては十分すぎる配役でもありました。
さらに、その偉業、栄光の裏には数多の謎を潜ませる、魅惑的な存在です。
当然ながら、その全ては当の本人が望んだわけではありませんでした。
彼女が本当に望んだものは後にも先にも、孤児院での何気ない日々なのですから。
しかし、彼女という存在はその死によって大きくねじ曲がります。
「生きていてほしい」と願う人々の願望、
「死んでいない」と信じて疑わない人々、
「死なせるものか」とその死を拒絶した伯爵。
「妖精」というメアリーを愛した非科学的で驚異的な存在。
これらにより、「メアリー」は復活を遂げました。
肉体は機械となり、棺の中の概念はメアリーに成り代わる怪物へと開花するのです。
しかし、そのどちらも不完全であり、決してメアリーそのものには成り得ない。
その事実を知っているのは、すべての当事者である伯爵のみ。
彼はその清算にすべてを懸けることとなりました。
時は流れていき、「メアリー」という存在は人々に害を与える存在に変貌していました。
その記録、存在を証明する物、そのすべてが最悪を引き起こしていきます。
そして最後に、ある人物が「メアリー」という存在そのものを「誰かの妄想」という架空の存在にしてしまうことで、その全てを無かったことにする。
というのが黒の戯曲の大まかなストーリーとなります。
気づいた人はどれくらい居たかはわかりません。
この「黒の戯曲」はすべて「メアリーの視点」で描かれています。
「誰かの妄想になったメアリー」が「メアリーを知る」物語となっています。
そして「誰かの妄想になったメアリー」は一体何者か…それを書くのは野暮でしょう。
CDの冊子を読んだ方は知っての通り、あれは別の人物の視点ですが。
そう、誰一人「メアリー」という存在を肯定しなければ、それはただの「妄想」です。
どんなに記録を残そうと、どんなに存在を証明する物品を提示しようと。
全てフィクションだとするのなら、それはフィクションなのです。
たとえ、読み手が本人であろうともです。
もちろん、その逆も然り。
人がその存在を肯定すれば、「メアリー」は存在します。
そして少なくても「黒の戯曲」「メアリー」を知ったあなたの中には、彼女は存在しているのです。たとえそれが誰かの妄想であろうとも。
何が言いたいのか。
特に何も、というのが私の答えです。
あえて言うなら、自己という存在はないに等しい。
ということくらいでしょうか。
だってこれは、ただの妄想なのですから。
そのほうが、面白いではありませんか。
さてさて、これでメアリーのお話はおしまい。めでたしめでたし。
ここから先はさらなる蛇足?それとも番外編?
まぁ、ともあれ、役者はまだ舞台を降り切ってはいないようですし。
伏線回収はまたいずれ…ということで。